【電験三種_理論】半導体問題対策①(半導体・pn接合・ダイオード)

  • URLをコピーしました!

電験三種の理論科目では、ほぼ毎回、半導体の文章問題や正誤問題が出題されます。

半導体の問題は、広く浅く出題されるため、深く理解するよりも、過去問で出題された箇所を重点的に理解することで得点アップにつながります。

このページでは、過去に出題された箇所を中心に、知識をまとめておりますので、試験対策にご活用下さい。(太字箇所が、主に過去に試験で出た箇所です

筆者の実績
  • 旧帝大 修士卒(電気電子工学専攻)
  • 電験一種に、10ヶ月で合格
  • 気象予報士試験に、4ヶ月で合格
  • ZOOM等でのオンライン個別指導(電験三種対策)の実績あり
目次

半導体全般【電験三種で過去出題された箇所】

導体半導体絶縁体
電気伝導度
(導電率)
高い中間低い
抵抗率低い中間高い
導体・半導体・絶縁体それぞれの電気的特性

半導体の特徴

電気伝導度の温度特性

半導体の電気伝導度は温度が下がると小さくなる。

すなわち、温度が上昇すると、抵抗率が減少する。

温度が上昇した際に電気伝導度が上がる理由も簡単に説明します。元々原子に拘束されていた電子が、エネルギーを得て原子からの拘束を逃れて、自由に動きまわれる自由電子となります。これがキャリヤの役割を果たすため、より大きな電流を流すことができます。(自由電子の発生時に、正孔もセットで発生します。)

半導体の種類(真性半導体と、不純物半導体(p形&n形) )

真性半導体

ポイント

真性半導体の材料は、ケイ素ゲルマニウムなど。

抵抗率(導電率)

真性半導体に外部から熱を与えると、その抵抗率は温度の上昇とともに低下する。

真性半導体の導電率は、不純物半導体よりも小さい

熱や光などのエネルギーを加えると何が起こる?

真性半導体に外部から熱や光などのエネルギーを加えると、電子と正孔が新たに生じることにより電流が流れ、その向きは正孔の移動する向きと同じである。

真性半導体のキャリヤ

シリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)の真性半導体においては、キャリヤの電子と正孔の数は同じである。

不純物半導体(p形半導体とn形半導体)

n形半導体
p形半導体
  • 真性半導体に、少量の5価の元素を添加(ドーピング)したもの。
  • 添加した上記不純物をドナーという。
  • 5価の元素例:ヒ素(As)、アンチモン(Sb)
  • 真性半導体に、少量の3価の元素を添加(ドーピング)したもの。
  • 添加した上記不純物をアクセプタという。
  • 3価の元素例:ホウ素(B)、アルミニウム(Al)
不純物半導体

真性半導体に微量のⅢ族又はV族の元素を不純物として加えた半導体を不純物半導体といい、電気伝導度が真性半導体に比べて大きくなる。

p形半導体の不純物

真性半導体(ケイ素SiやゲルマニウムGeなど)に、ホウ素BまたはインジウムInなどの3価の元素を不純物(アクセプタ)として加えたものをp形半導体という。

n形半導体の不純物

真性半導体(ケイ素SiやゲルマニウムGeなど)に、ヒ素AsまたはアンチモンSbなどの5価の元素を不純物(ドナー)として加えたものをn形半導体という。

p形半導体のキャリヤ

p形半導体の多数キャリヤは正孔少数キャリヤは電子

n形半導体のキャリヤ

n形半導体の多数キャリヤは電子少数キャリヤは正孔

pn接合【電験三種で過去出題された箇所】

pn接合の図

pn接合の特性

外部回路から電圧をかけていないとき(熱平衡状態)

pn接合面付近では、電子と正孔が結合して消滅し、空乏層と呼ばれるキャリアの無い領域が生じる。

空乏層内において、p形半導体内の接合面付近に負の電荷が、n形半導体内の接合面付近に正の電荷が現われる。

上記により、接合面付近にはキャリアの移動を妨げる電界が生じる。

逆方向バイアス時

pn接合に逆方向電圧を加え、その値を大きくしていくと、降伏現象が起きる。

ダイオードにp形が負、n形が正となる電圧を加えたとき、p形、n形それぞれの領域の少数キャリヤに対しては、順電圧と考えられるので、この少数キャリヤが移動することによって、極めてわずかな電流が流れる

pn接合を用いた太陽電池

太陽電池の構造は、ダイオードと同じで、pn接合部から成ります。

pn接合部分に光が当たると、光のエネルギーによって新たに正孔電子が生成され、正孔はp形領域に、電子はn形領域に移動する。その結果、p形領域とn形領域の間に起電力が発生する。

外部回路として負荷抵抗を接続する前に比べて、接続した後の方が、太陽電池の温度は低くなる。

負荷を接続しない場合に温度が上昇する理由を説明します。負荷を接続しなければ、発生した電子-正孔対が再結合します。その際に持っていたエネルギーを放出するので、半導体の温度が高くなってしまいます。

ダイオード 【電験三種で過去出題された箇所】

pn接合ダイオード

pnダイオードの図記号

pn接合ダイオードは、順電圧を加えると電子が素子中をカソード➡アノードへ移動する2端子素子である。(正孔は逆方向に流れます。)

pn接合ダイオードには、整流作用がある。(基本的に、アノード➡カソード方向のみに電流が流れる。)

発光ダイオード(LED)

発光ダイオード
用途

主として表示用光源及び光通信の送信部の光源として利用されている。

特徴

表示用として利用される場合、表示用電球より消費電力が小さく、長寿命である。

電流を方向に流した場合、pn接合部が発光する。

発光ダイオードの順方向の電圧降下は、一般に 2[V]程度である。

発光ダイオードのpn接合領域に順電圧を加えると、pn接合領域でキャリヤの再結合が起こる。再結合によって、そのエネルギーに相当する波長の光が接合部付近から放出される。

構造

ひ化ガリウム(GaAs)、りん化ガリウム(GaP)等を用いた半導体接合部を利用する。

ホトダイオード

ホトダイオードは、光が照射されると、p側に正電圧、n側に負電圧が生じる素子である。

よって、光信号の検出ができます。

使用例

テレビのリモコンには、信号送信のための発光ダイオードがついています。テレビ本体側には、信号受信のためのホトダイオードがついています。

レーザ ダイオード

レーザダイオードは光通信や光情報機器の光源として利用され、pn接合に順方向電圧を加えて使用するものである。

(レーザダイオードを用いると、通信用の光ファイバに光信号を入力することができます)

レーザダイオードは、p形層 – 活性層 – n形層の3層構造を成している。

レーザダイオードの動作原理

STEP
 再結合による発光

レーザダイオードに順電流を流すと、活性層の自由電子が正孔と再結合して消滅するとき光を放出する。

レーザダイオードの動作原理(再結合)
STEP
光を閉じ込める(多重反射)

STEP1で発生した光が、両端面の反射鏡の間に閉じ込められる。

レーザダイオードの動作原理(多重反射)
STEP
誘導放出

閉じ込められた光による誘導放出が起き、同じ波長で、かつ、位相のそろった光が多量に生じ、外部にその一部が出力される。

レーザダイオードの動作原理(誘導放出と発振)

光の特別な波長だけが共振状態となって誘導放出が誘起されるので、強い同位相のコヒーレントな光が得られる。

コヒーレントとは、同一周波数で同位相ということ。

可変容量ダイオード

可変容量ダイオードは、pn接合に逆方向電圧を加えて使用するものである。

可変容量ダイオードは、加えている逆方向電圧を変化させると、静電容量が変化する。

空乏層の静電容量が、逆電圧によって変化する性質を利用したダイオードを可変容量ダイオード又はバラクタダイオードという。逆電圧の大きさを小さくしていくと、空乏層の領域の幅が小さくなり、静電容量は大きくなる。

可変容量ダイオードは、無線通信の同調回路などに用いられる。

同調回路とは

目的の周波数のみを抽出するための回路。例えば、ラジオ局ごとに電波の周波数は異なっていますが、聴きたい局の周波数のみを抽出する際に、同調回路が必要となる。

定電圧ダイオード(ツェナーダイオード)

定電圧ダイオード(ツェナーダイオード)はダイオードにみられる逆電圧・電流特性の急激な降伏現象を利用したものである。

定電圧ダイオードの用途は、電圧を安定させるための定電圧回路や、デバイスに悪影響を及ぼす瞬間的な電圧電流(サージ)を阻止する保護素子などです。

次回予告

半導体の概要や、ダイオードなどで出題されたものは以上です。

次の記事では、今回出てこなかった、トランジスターなどをまとめます!

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次